ハイブリッド減速機

 歯車などの変速を行う装置の減速比は,一対の歯数で決定されます.一対の歯車間の中心間距離が決まると,最小歯数の制約より最大減速比はほぼ決まり,変速は困難となります.そこで本研究では,従来開発されていた『転がり転用型トラクションドライブ』1)に着目しました.これは,軸受内輪と転動体公転時の回転差を利用した減速機です.本研究では,転がり軸受の保持器を出力軸とし,トラクションドライブとしての機能を付加した減速装置の開発を行っています.予圧方法としては,以下の2種類となっています.装置の全体図は,図1の通りです.

軸方向予圧を用いたハイブリッド減速装置
「アンギュラ玉軸受,テーパころ軸受」

 図2にあるように,予圧ばねによって軸方向(アキシアル方向)に予圧を与えて,出力軸にトルクを伝える方法です.歯車反力を支持する軸受には,アンギュラ玉軸受(テーパころ軸受)を使用しています.

半径方向予圧を用いたハイブリッド減速装置
「深溝玉軸受,円筒ころ軸受」

 中間軸と軸受内輪に締め代を設けて焼嵌めを行い,常温に戻る際の軸受外輪の収縮による予圧によって,必要なトルクを維持し減速させる方法です.歯車反力を支持する軸受には,深溝玉軸受(円筒ころ軸受)を使用しています.また,装置の全体図は,図3に示す通りです.

1) 塩津勇,松本將,東﨑康嘉,吉見壮司,梅田彰彦,園部浩之,“転がり軸受転用型高速マイクロトラクションドライブ(第1報,マイクロトラクションドライブの試作と評価)”,日本機械学会論文集C偏,Vol.72,No.716(2006),pp.1337-1344.