硬化歯車の高面圧時表面温度評価手法に関する基礎的研究
(科研費助成事業,基礎研究(C))

 歯車動力伝達装置の使用条件は近年ますます過酷になり,高荷重・高速回転で使用されることが多くなります.そのため,高荷重・高速回転により歯面温度が高くなり,潤滑油膜が破壊され,歯面の焼付きやスコーリング等の熱的損傷が発生します.しかし,それらの発生に関する重要な要素である瞬間的な歯面温度についての研究は少なく,歯面瞬間温度と熱的損傷の関係性を調査することが課題となっています.そこで本研究では,歯面瞬間温度測定することにより,耐焼付き強さの限界の判定,スコーリング限界値を決定することを目的としています.

 しかしながら,歯車特有の条件として,

  • [1] 回転体であり,信号を回転体から取り出す必要があります.
  • [2] 歯面は,かみ合い状態にあるので外部からの確認ができません
  • [3] 1回のかみ合いが完了する時間が非常に短時間であります.
  • [4] 表面硬化された歯車を高面圧で使用します.
  • [5] かみ合い中に複数の歯でかみ合う時間帯があります.

 我々は,[1]~[3]の条件を克服するために,ゼーベック効果を用いた歯車自体の熱電対とする動的熱電対法を採用しました.次に,[4]の条件に対処するため異種金属として採用したSUS316とS55Cを,それぞれプラズマ浸炭と高周波焼入れで硬化し,その条件下でも熱起電力を生じることを確認したので本試験に採用しました.最後に,[5]の条件に対応するために,同時に2枚の歯がかみ合わないように,1歯飛びに歯が欠けるようにした歯車2枚を絶縁状態で組立てることにしました.今後の課題としては,高回転時に発生するノイズ除去や,より高負荷・高回転での歯面温度測定などが挙げられます.

計測手法について