簡易型手織機の開発
西陣織の手織り技術者の継承者を育むため
現在、京都西陣織の職人の高齢化が進み伝統技術が衰退していくことが懸念されており、西陣織の高度な技術を伝承・発展させていくために次世代を担う若者を育成することが急務となっている。後継者不足の要因としては、織物は織りの技術を長年にわたり習得しなければ難しいことや、織り機が大型で大変高価であることが挙げられる。
このような現状を踏まえ、平成21年に下記の京都西陣織の職人、織機製作メーカ、テキスタイルデザインの研究者と共に、これまでにない簡易で持ち運び可能な手織り綜絖機の製作を開始し、綜絖の選択操作を織物の組織を勉強するのに最も適した手動式として綜絖が8枚の簡易手織り機を完成させた(1号機、平成22年2月完成・資料1参照)。
さらに織りの効率化を図るために、およそ1年をかけて平成23年に小型の手織り機に対応した電動式で任意の枚数の綜絖を選択・開口する自動化システムを試作した(2号機、平成23年2月完成・資料2参照)。綜絖の選択・開口はコンプレッサを動力源に用い、織り組織はデータベース化した中から選択できるようにして簡便化し高度な織組織りを容易にした。実際に製織した結果、手織り機でありながら速く織っていけることが確認できた。
ウール糸や綿糸等を製織する場合は糸に糊付けを前処理して整経し製織するのが一般的であるが、小ロットの糸を糊付けしてくれる業者が今は無くなりました。ウール糸を糊付け無しで製織するために、2号機の綜絖と筬など変更していろいろと試験織りしながら研究し、今回はニット用ウール糸(2/48)を使用し、ウール糸の生地が製織できるようになった(2号改造機、平成24年2月完成・資料3参照)。
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1号機折り畳み状態 | 製織サンプル品 |
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製織状態 |
(資料1)1号機(綜絖8枚、サイズ:横幅63cm 奥行き102cm 高さ82cm )
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折り畳み状態 | 製織サンプル品 材料ニット用ウール糸(2/48) |
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製織状態 |